家族信託活用事例 〜承継者を指定するための家族信託(1)〜
『自分が死んだら、後妻に財産を使って欲しいが、後妻の亡き後は(前妻との間の)実子に渡したい。』
ご家族構成/財産の内容
- 依頼者Xさんには、後妻Yがいますが、Yとの間に子はいません。
また、Xさんには、前妻との間の子である長男Aがいます。 - Xさんの財産は、自宅と金融資産のほかに、賃貸アパートを1棟所持しています。
ご要望/心配なこと
- Xさんには、自分が死んだ後、後妻Yには不自由のない生活を送って欲しいという希望があります。
- 後妻Yが亡くなった後は、血が繋がっている長男A(前妻との子)に財産を遺したいと思っています。
- 長男Aも自分(X)の希望に理解を示してくれています。
Xさんが遺言を書けば、全財産を後妻Yに相続させることが可能です。
しかし、後妻Yが相続した財産をAに承継させるには(後妻YとAは実親子ではなく相続関係はないため)、後妻Yにその旨の遺言書を書いてもらう必要があります。
しかしそれは後妻Yの意思次第なので、後妻Yの気持ちが変われば、一度書いた遺言も撤回されてしまい、長男Aは資産を承継できない結果となります。
そこで、家族信託を利用すれば、後妻が全財産を相続したのと同様の効果を得つつ、後妻亡き後の承継先を確定させることができます。
【解決策=家族信託の活用】
Xさんと長男Aさんとの間で、信託契約を結びます。
- 委託者:X
- 受託者:長男A
- 受益者:①当初X ②(Xの死亡後)後妻Y
- 信託契約の内容は、
- ①信託財産:自宅・賃貸アパート・金融資産。
- ②長男Aは、信託財産を管理し、アパートからの賃料収入などを元手に、XとYの生活を経済的な側面からサポートするものとします。
- ③Xと妻Yが死亡したら信託は終了し、残余財産の承継先として、長男Aを指定します
ポイント解説
- 長男Aは信託財産を管理します。
- 長男Aは、アパート賃料収入など信託財産から、父Xの生活費を支払います。《生前の財産管理機能》
- 父Xと後妻Yが認知症になってしまっても、長男Aは信託契約に従い財産管理をすることが可能で、施設入所などまとまったお金が必要になった際には、不動産を売却することも可能です。 《後見制度の代替機能》
※成年後見制度を使う必要がないため、家裁の許可や報告など複雑な作業が不要です。また第三者後見人への報酬の支払いがカットできます。 - 後妻Yは、夫X亡き後の受益者として指定されているので、老後の生活に不安がなくなります。(Xの亡き後、Yが実質的な財産のオーナーになります。)
ただし、(遺言により所有権を取得した場合と異なり)Yが死亡することにより、Yの権利は消失するため、Xの財産がYの親族に流出することを回避できます。 - XとYが死亡したら、信託は終了し、残った財産は、契約で定めたとおり、すべて長男Aが引き継ぎます。《遺言書の代替機能》
アクセスマップ
- 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢973 相模プラザ第3ビル 2-B
- 藤沢駅(JR、小田急、江ノ島電鉄)北口から徒歩5分