家族信託活用事例 〜共有不動産の対策としての家族信託(1)〜
『現在、兄弟で共有する収益物件があるが、将来のトラブルを防ぎたい』
ご家族構成/財産の内容
- 長男A、二男B、長女Cは、親から共同相続した築40年のマンション1棟(持分3分の1ずつ)を所持し、持分に応じた家賃収入を得ています。
- 3名にはそれぞれ子どもがいます。
ご要望/心配なこと
- 現在は、兄弟3人の仲も良く、マンションの稼働も順調で何の問題もありません。
- しかし、老朽化も目立ち始め、あと10年以内には何らかの対策をしなければ行けないと思っています。
- 兄弟3名とも高齢です。今は元気ですが、将来認知症になることも心配です。
このようなケースで想定されるトラブルとしては、将来、マンションが老朽化した際に、
- 共有者の意見がまとまらないこと
- 共有者の一部が認知症になってしまうこと
などの理由により、スムーズな老朽化対策(建て替え・大規模修繕・売却)を実行できなくなることが、考えられます。
さらに、それぞれに相続が発生すると、マンションの共有者が増え、さらに事態は複雑になります。
そこで、家族信託を利用すれば、財産の収益部分はこれまでどおり持分に応じ収受しつつ、管理処分の決定権限のみを1人に集約することにより、共有不動産の不良資産化を防ぐことが可能です。
解決策=家族信託の活用
- ABCの3名と長男の子であるDとの間で信託契約を締結します。
- 委託者:A・B・C
受託者:長男の子であるD
受益者:①A・B・C →②(各人の死亡後は)それぞれの子 - 信託契約の内容は、
- A・B・Cが共有するマンション1棟を信託財産とします。
- 受託者である長男の子Dは、信託財産であるマンションを管理するものとします。
Dは、家賃収入を管理し、受益者であるABCに、これまで通り、家賃収入を配分します。
A・B・Cが死亡したら、受益権はそれぞれの子どもに承継されますので、家賃収入もそれぞれの子どもが得ることができます。 - 大規模修繕・建て替え・売却の権限をDに付与しておきます。
ポイント解説
- 信託契約を締結しても、受益者であるABCは、これまでどおり、家賃収入を得ることができます。
- A・B・Cが死亡した場合でも、受益権はそれぞれの子どもたちに引き継がれますので、子ども達は、実質的にマンション持分を共同相続したのと同じ効果を得る(家賃収入を得る)ことができます。
- ABCが認知症になってしまっていても、受託者であるDが建替え等の老朽化対策を決定・実行することができるので、スムーズに進みます
- 一方で、A・B・Cに相続が発生し、受益者が増えたとしても、Dは受託者という立場で、老朽化対策(大規模修繕・建て替え・売却など)を独自に決断することができます。(他の関係者は、家賃収入を得ることはできるが、管理方針に口を出せない立場となります。)
- つまり、将来の老朽化の際も、意見の不一致に頭を悩ませる必要がなくなり、一部の共有者から協力が得られないことによるマンションの不良資産化を防ぐことができます。
アクセスマップ
- 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢973 相模プラザ第3ビル 2-B
- 藤沢駅(JR、小田急、江ノ島電鉄)北口から徒歩5分